VPSを選ぶとき、比較サイトを見ても「結局どれ?」となりがちです。スペック表は各社似たようなことが書いてあるし、料金も並べられても判断がつきません。
この記事は、ConoHa・さくらインターネット・KAGOYA の3社を実際に契約して使ったうえで書いています。ConoHaにいたっては10年ほど使い続けていて、今もVPSを3台動かしています。この記事を配信しているサーバーもそのうちの1台です。
カタログスペックの比較ではなく、使ってみて初めて分かったことを中心に書きます。
結論:迷ったらConoHa、用途で選ぶなら使い分け
3社使った結論から書きます。
| 用途 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| ゲームサーバー | ConoHa | 1時間単位の課金。遊ぶ期間だけ借りて、終わったら消せる |
| Webサイト常時稼働 | ConoHa / さくら | どちらも安定。長期契約の割引を取るならさくらも有力 |
| 複数台で負荷分散 | さくら | GSLB(広域負荷分散)が用意されていて、自作しなくて済む |
| 短期の検証・学習 | ConoHa | 作って壊してを繰り返しても、時間ぶんしか請求されない |
「とりあえず1社」ならConoHaを推します。私自身、最終的にメインをConoHaに寄せました。理由は後述するAPIで電源を操作できる点が大きいです。
VPS選びで本当に効く4つの軸
1. メモリ(ここが9割)
VPS選びで一番効くのはメモリです。CPUやディスクは後からどうにでもなりますが、メモリが足りないとプロセスが強制終了されて終わりです。
実際に私が動かしている2台の実測値です。
| 構成 | 動かしているもの | メモリ使用率 |
|---|---|---|
| 2vCPU / 1GB | Apache・MariaDB・PHP-FPM・Zabbix・自作API数本 | 75〜81% |
| 1vCPU / 512MB | Apache・監視API・トンネルサーバー | 40〜51% |
ここから分かるのは、512MBでも「軽いものを数個」なら普通に動くということ。逆に1GBでもDBとPHPとZabbixを載せると8割まで埋まります。
ゲームサーバーはこれとは桁が違います。パルワールドは公式が16GB以上を推奨し、ARKも10〜15人規模で16GB級が現実的なラインです。Webサイト用の感覚でプランを選ぶと確実に足りません。
2. 課金方式(意外と重要)
これは実際に使ってみるまで軽視していた部分です。
ConoHaは1時間単位の課金で、初期費用も最低利用期間もありません。サーバーを削除した時点で課金が止まります。
これが効くのはゲームサーバーと検証環境です。友人と遊ぶ期間だけ借りて終わったら消す、という使い方ができます。月額契約だと「今月は遊ばなかったのに払っている」が発生します。
私は検証用にサーバーを何度も作っては壊していますが、この課金方式のおかげで費用を気にせず試せています。
3. ディスクの扱い方が各社で違う
見落としやすい差です。
- ConoHa:全プランNVMe 100GB固定。安いプランでも容量は減らない
- Xserver:2GBプランは50GB、4GB以上で100GB
- さくら:メモリに比例して容量が増える設計
小さいプランで容量が欲しいならConoHa、大きいプランで容量も欲しいならさくら、という違いになります。
4. 固まったときに復旧できるか
これが私がConoHaをメインにした決め手です。
VPSは、OSごと固まるとSSHも効かなくなります。こうなると管理画面から電源を入れ直すしかありません。外出先でこれが起きたら詰みます。
ConoHaにはOpenStack互換のAPIがあり、電源の再投入をプログラムから叩けます。私は監視ツールを自作して、サーバーが応答しなくなったら自動で電源を入れ直す仕組みを組んでいます。
実際、先日サーバーが停止したままになったことがあったのですが、APIで os-start を投げたら10秒でACTIVE、12秒後にはSSHが開通して復旧しました。管理画面を開く必要すらありませんでした。
ここを自動化できるかどうかは、長く運用するほど効いてきます。
実際に使った3社の感想
ConoHa(10年ほど利用・現在3台稼働中)
3社のなかで一番長く、10年ほど使っています。今この記事を配信しているのもConoHaのVPSで、正・副・予備の3台構成で動かしています。
長く使っていると、料金体系が変わったりプランが刷新されたりを何度か経験しますが、その間サービス自体が不安定で困ったという記憶はありません。長期で預けられるかどうかは、こればかりは使い続けないと分からない部分です。
良かったところ
- 1時間単位の課金で、試しに立てて消すのが気軽
- APIが素直。電源操作もサーバー一覧の取得もすぐ書ける
- ゲーム向けには「ConoHa for GAME」があり、25種類のテンプレートからコマンドなしで起動できる
- 全プランNVMe 100GB固定なので、小さいプランでも容量に困らない
気になったところ
- 512MBプランは本当に512MBなので、載せるものを選ぶ必要がある
- OSのミラー選択に失敗して
dnfが通らないことが一度あった(公式ミラーを直接指定して回避)
あと、このはちゃんがかわいい
技術的な話をさんざん書いておいて何ですが、私がConoHaを推している理由には公式キャラクターの「美雲このは」ちゃんがかわいいというのも正直あります。
10年も同じサービスを使っていると、管理画面を開く回数が本当に多くなります。そこにキャラクターがいるかどうかは、地味に効きます。サーバーが落ちて焦っているときでも、管理画面を開いた瞬間にちょっと和らぐんですよね。
公式サイトでは季節ごとの壁紙が無料で配布されていて、PC用もスマホ用もあります。
ちなみにConoHaの管理画面には、背景をこのはちゃんにする「このはモード」があります。まずここをオンにするところから始めてもいいと思います。
サーバー選びは基本的に地味な作業です。触っていて楽しいかどうかは、長く続けるうえで意外とばかにできない要素だと思っています。
ゲームサーバー用途にしぼった詳しい話は、ConoHa for GAME のレビュー記事にまとめました。対応タイトルと料金表、管理ツールの実際を書いています。
さくらインターネット
ゲームサーバー、Webサイト、検証環境と一通り使いました。
老舗だけあって安定志向という印象です。国内データセンターで、長く置いておくものを預けるには安心感があります。メモリに比例してディスク容量も増える設計なので、大きめのプランを取るなら容量面で有利です。
さくらを選ぶ理由になるのが GSLB(広域負荷分散)です。複数台のサーバーに負荷を振り分けたり、片方が落ちたときに生きているほうへ寄せたりする仕組みが、機能として最初から用意されています。
これが地味にすごいところで、私は今の構成で同じことをDNSのAPIを叩く自作スクリプトでやっています。監視して、落ちたら切り替えて、という部分を全部自分で書きました。さくらならその多くが設定だけで済みます。
複数台での冗長構成や負荷分散を自分で作り込まずに済ませたいなら、さくらは有力な選択肢です。
一方で、ConoHaのような時間課金の気軽さはありません。腰を据えて長期運用するならさくら、という使い分けになりました。
なお、ゲームサーバーや自作アプリではなくWebサイトを置きたいだけなら、さくらはVPSよりレンタルサーバのほうが安く済みます。OSを触る必要がないぶん管理の手間もかかりません。
KAGOYA
ゲームサーバー用途で使いました。
コストパフォーマンス重視の選択肢という位置づけです。ゲームサーバーのように「遊ぶ期間だけ」という使い方とは相性がよく、料金を抑えたい場合の候補になります。
用途別の詳しい選び方
ゲームタイトルごとに必要なスペックはかなり違います。それぞれ別記事にまとめました。
失敗しないための注意点
安いプランから始めて後で上げればいい、は半分正解
多くのVPSはプラン変更に対応していますが、ダウングレードできない、あるいは制限があることが多いです。上げるのは簡単、下げるのは面倒、と覚えておいてください。
ゲームサーバーの場合は特に、人数が増える前提なら最初から余裕を見るほうが結果的に楽です。
バックアップは自分で用意する前提で
VPSは「サーバーを貸す」サービスであって、中のデータを守ってくれるわけではありません。ゲームのセーブデータもWebサイトのDBも、消えたら自分の責任です。
私は正・副の2台にデータを同期させ、さらに3台目から両方を監視する構成にしています。ここまでやらなくても、定期的に別の場所へ落としておくだけで安心感がまるで違います。
ドメインは別会社で取っても構わない
VPS会社とドメイン会社を揃える必要はありません。私はドメインをお名前.com、DNSをCloudflare、サーバーをConoHaと自宅、という組み合わせで運用しています。
ドメイン側の話はお名前.comの評判は?2年使って分かったメリット・デメリットにまとめています。
よくある質問
VPSとレンタルサーバーの違いは?
レンタルサーバーは用意された環境を使うもの、VPSはOSごと自由に触れるものです。ゲームサーバーを建てる、自作のアプリを動かすといった用途にはVPSが必要になります。自由度が高いぶん、管理も自分の責任になります。
逆に、ブログや会社のサイトを置くだけならレンタルサーバで十分です。用途がWebだけならVPSを選ぶ理由はありません。
メモリはどれくらい必要?
用途によって桁が変わります。軽いWebサイトなら512MB〜1GBでも動きますが、パルワールドは16GB以上、ARKも10人規模で16GB級が目安です。ゲームサーバーはWeb用途の10倍以上を見てください。
途中でプランを上げられる?
多くの会社が対応していますが、下げる方向には制限があることが多いです。増える見込みがあるなら最初から余裕を持たせるのが無難です。
サーバーが固まったらどうする?
管理画面から電源を入れ直します。ConoHaならAPIからも操作できるので、監視ツールと組み合わせて自動復旧させることも可能です。私は実際にその仕組みを組んでいて、停止から復旧まで自動で完了しています。
まとめ
3社を実際に使ったうえでの整理です。
- ConoHa:時間課金とAPIの扱いやすさ。ゲームにも検証にも強い。迷ったらここ
- さくら:老舗の安定感。GSLBで負荷分散を自作せずに組める
- KAGOYA:コスト重視の選択肢
そして最後にもうひとつ。このはちゃんがかわいい。これも立派な選定理由です。
そして選ぶときは、メモリを最優先、次に課金方式、最後に固まったときの復旧手段を見てください。この3つを押さえておけば大きく外しません。


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